「お礼奉公」というと、奨学金を受け取ることへ義務を課せられるような、あまりいいイメージをもたないかもしれません。
費用の負担なく「お金をかけずに看護師の道が開ける」と思えば、いい制度といえるのですけどね。
ここでは、法的なものもおさえながら、辞めたい理由と辞めたい時の対処法についてお伝えしていきます。
Contents
期間内に辞めたい理由
御礼奉公中に辞めれば、奨学金の返済をしなくてないけない・・
だけど辞めたい理由とは?
辞めたい理由
- 職場の環境/労働条件、人間関係など
- 仕事の辛さ/看護師を辞めたい
- ライフイベント/妊娠など
- スキルアップ/学校への進学など etr...
お礼奉公中にあたる新卒1~3年目は、仕事にも慣れず辞めたい時期。それに加えて、お礼奉公では「指定された病院」で働かなければいけません。
希望にかなわない職場であれば、「合わない、辞めたい」という気持ちもつよくなりがちですよね。
また、女性にとっては、結婚・出産といったライフイベントもある時期。産休や育休が「お礼奉公の期間」に入らないとすれば、辞めたいと思うケースも多くなります。
お礼奉公は違法?
奨学金を受けるとき、病院と結んだ契約。そこに準じた「お礼奉公」であれば違法ではないはず。
「違法では?」という味方があるのは、お礼奉公が「職業選択の自由」を妨げる要因のひとつだから。
国の定める憲法には「職業選択の自由」が定められていて、「奨学金を受けたことで3年の拘束を強いるのはおかしい」といった考えです。
ですがそれが強いられるものでなく、自分自身で選択したもの。病院との合意の上で結んだ契約ならば、違法とはいえません。
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もう一つ、労働基準法にある「労働契約の不履行に対する違約金を定めてはいけない」、「損害賠償額の予定を決める内容の契約をしてはいけない」との定め。
御礼奉公中の退職にある「一括返済」は違約金や損害賠償にあたるのでは?との見方があります。
これも、契約時のお互いの合意があれば法的に違法とはいえません。そもそも返済するのは「借りていた奨学金」、プラスに課せられる費用ではありません。
ですが、契約にない不当な違約金は法的に認められていないところ。退職後の返済については、契約と照らし合わせ、病院としっかり話し合う必要ですね。
返済については、今までお世話になった職場に配慮して、お互い協力的な姿勢での交渉を目指しましょう。
辞められない理由への対処法
奨学金返済の義務はあっても、辞めることに法的な拘束はありません。
辞めれる、だけど辞められない理由は・・
辞められない理由
- 御礼奉公中に辞めることで違約金を請求される不安
- 辞めたら「一括返済」を求められる
- 周りに申し訳ないという気持ち
返済は、新たに請求されるお金ではなく、もともと借りていたお金。辞めるには、その借金を返す必要があり「返済方法」を考えなくてはいけないのです。
転職するにしても、返済を補っていくことを含めての計画が必要です。
辞められない理由への対処法
いちばん解決したい「返済」のこと。
職場により異なる返済額の規定ですが、
◆働いた期間を考慮して「残金を一括払い」
◆分割払いにしたい場合は病院側との話し合い
により、というケースが一般的です。「一括払い」の請求を受けた場合には契約内容を確認した上で、「残金一括払い」や「分割払い」を交渉するのもひとつです。
分割払いであれば、辞めた後の支払い負担が少なくてすみますよね。
支えてくれた周りに申し訳ないという気持ちで、両親に話せず、辞めることも一人で抱えてしまったり・・・ですがお礼奉公中の退職は「学生の時に決めたお金の返済」に関わること。
自分で浪費したお金ではないのですから、助けを求めてもいいのです。負担を抱えて他に借金をつくるよりも、新たな気持ちで転職し、そこで両親への返済を約束する方が賢明ですよね。
お礼奉公中を理由に辞めさせてもらえないとき、違約金の請求、また働いた期間があるけれど、「全額一括返済」を求められた場合も、辞めた状況などにもより、一人では対応の難しいケースもあります。その場合は「労働基準監督署」などに相談してみると良いでしょう。
御礼奉公で一生安心の資格
「御礼奉公」の制度は病院の持つ特徴ある制度。
奨学金の制度はあっても、何年か働くことで「返済が免除される」という制度は中々ないですよね。
医療系の専門学校は学費も一般的に高いもの。「学びながら看護師に慣れて、就職先の心配もない」というのは実はすごくラッキーな制度だと思いませんか?
女性のライフスタイルに適応しやすい「一生の資格」ですし、実際 ”経済的に自立したい” と考える女性やシングルマザーにも人気ある資格なのです。
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モノは考え方様で、”奨学金もらっても3年拘束される” と思えば窮屈ですが、「お金なくても価値ある資格を手にできる、収入を得る職場も用意されている」と思えばこれ以上にない待遇なのですよね。
❙今の職場を辞めてから・・ 辞めない道は?合わせて考えてみることは必要ですよ。
おわりに
これからを決めるのは、自分の気持ち次第。
お礼奉公は、奨学金貸与というカタチで「看護師の道」を開いてくれた、病院への奉公。そしてあなたにとってのひとつのチャンスです。
3年の看護師経験があれば、他でも活躍できるところはたくさんある。看護師を辞めても、資格を活かして他に活用すること場が拡がるのです。
そう考えれば、「今」に向ける考えも違ってくるかもしれません。
御礼奉公を味方に開かれた看護師の道。
たとえ辞めて、看護師以外の方向へ進んだとしても、あなたの人生をよくする「これから」へと開いていけるといいですね。